2019/10/21 カルピスに居場所はなかった
禁酒期間 5ヶ月と20日。
それもついに今日で解禁となる。
もともとお酒は強い方ではないが、みんなと飲み会の場にいる事が好きだった。
だから毎回欠かさず、週2〜4で飲みにいっていた。
そんな僕を襲ったのが「パニック障害」だった。
自分の心と身体が上手く噛み合わなくなる病気。
田舎住みの主な交通手段である電車が苦手になった。ふとしたタイミングで動悸が止まらず動けなくなったり、突然気絶してしまう事も多々あった。
かつてないほどの不自由を突きつけられると人は自分が何もできない無能な人間なのだと感じる。
電車に乗って満足に移動もできない。
少し歩いただけで体調が崩れる。
頻繁に起こる目眩。
一瞬で身体の自由を奪われる立ち眩み。
どんどん自分が出来る事が狭まっていく気がした。
僕の心の支えは友人たちだった。だから「パニック障害」だとしても、みんなとの飲み会に参加し続けた。たとえ僕のグラスだけカルピスだったとしても。
しかし、それも限界がくる。
お酒を飲んでいるみんなと、カルピスを飲む僕。飲み会で時間が経つほどテンションに差が生まれるのは最初からわかっていたことだった。
勝手に、僕は居場所を失った気がした。そして次第に飲み会に足を運ぶこともなくなってしまった。
今日僕はお酒を飲む。
常連のお店でやかんで出される濃いめのウーロンハイだ。
1口ふくむと約6ヶ月間味わう事のなかった安い焼酎を舌いっぱいで感じた。
ああ、居場所が戻ってきた。
身体の奥からじわーっと熱くなるのを感じ、少し心が晴れた気がした。